妖艶さの、虜になる ~The Marías~
お洒落な音楽、それも純喫茶などでコーヒーを飲む時に聴くような音楽というのは、往々にしてBPMがゆるかったり、ギターやサックス、トランペットを大きな音で鳴らすものではなかったりだろう。それでもって、そのような音楽は、大体が古いジャズだったりする。
そんな中で、まさに「純喫茶」のイメージにぴったりなのが、今回紹介する「The Marías」である。
ロサンゼルス出身のこのグループは、2016年に結成され、2017年11月にEP「Superclean Vol.1」を出し、デビューした。
その中でも、先行リリースされた「I Don’t Know You」を聴いて、僕自身、まるで恋に落ちるようにこのバンドを聴くようになった。
I Don’t Know You - The Marías
透き通るようでいて、妖艶さも持っている歌声。放っておくとどこかに行ってしまいそうな、少しの揺らぎを感じさせ、いつまでも聴いていたいと思える素晴らしい歌声であると思う。
また、楽器隊の入り方も秀逸だ。ギターのコードとベース、ドラムだけで入るのだが、そこから女声のボーカルぎ入り、コーラスの男声が入り、キーボードも入る。かと思うとまたシンプルになり、華やかになり…
このグループは、一見「静かな」音楽をやっているように思えるのだが、「静と動」を構成としてしっかり入れているのである。僕は音楽において人を惹きつけるのに大事な要素として、この「静と動」が1番大事だと思うのだが、これがいわゆる「静かな」音楽をするグループの中で、ここまで上手くハマったグループは中々見ない。
また、今年に入って11月にリリースされたばかりのセカンドEP「Superclean Vol.2」では、「Cariño」という曲に注目したい。
Cariño - The Marías
この曲でも「静と動」がしっかりとあるのだが、それよりも聴いてみるとわかるように、この曲はスペイン語の入った曲である。1st EPからスペイン語の入った曲はあるのだが、これがまた良いのだ。
英語は、様々な言語の影響を受けてはいるが、イントネーションがはっきりとしている場合が多い。なので、それこそ「キッパリと」何かを言うのには多分ドイツ語の次に適していると思われる。それに対してスペイン語は、ラテン語圏の影響とアラビア語の影響を大きく受けており、聴くときに力を入れなくて良いことが多い。
The Maríasのように、聴き手にしっかりと聴かせる音楽においては、もしかしたらスペイン語の方が良いのかもしれない。
また、このグループは曲のセンスと共に写真のセンスもあるので、時間がある方は是非公式サイトの写真を見ていただきたい。